2011年3月11日に発生した東日本大震災は,岩手県・宮城県・福島県を中心とする地域で 地震,津波,原発事故という災害連鎖を生み,死者・行方不明者を含めると2万人以上の人的被害を生みました.2012年7月には,気象庁が「これまでに経験したことのないような大雨」という表現を用いて注意喚起を行った平成24年7月九州北部豪雨が発生し,熊本・大分を中心に甚大な被害をもたらしています.
東日本大震災での被害実態が解明されるに伴い,2013年5月には,南海トラフ巨大地震対策について(最終報告)が内閣府よりまとめられ,6月には「災害対策基本法」の改正案が成立しています.これらの動きの中では,災害時の被害を最小限にとどめんとする減災の考え方が重要視されていますが,減災社会を実現するための対策は,実現することが困難なものが多く,そこに存在する課題は多岐に亘りかつ複雑であるため,その課題解決には様々な分野の研究者が個々に取り組むだけでなく,相互に知恵を出し合い連携しなければならなりません.
本研究発表会では,地域防災に携わる土木,建築,情報学,心理学,社会学などの研究者および実務者が一同に集い,実践的・理論的な研究発表を行い,それらについて様々な視点から討議するとともに,地域防災に関する今日的課題や今後の展開について議論する場とし,防災計画学の体系化を目指します.
また,ここで得られた知見が各地域に還元されることにより,全国各地の地域防災力が向上することを期待しています.さらに,平常時から広く地域防災力に関する情報交換を行い,研究上の課題を継続的に発見して対応し,その成果を共有化するとともに,社会に還元していくためのネットワーク構築を目指しています.
防災計画,地域防災システムに携わる多くの研究者・実務者に参加していただけると幸甚です.